2011年4月23日土曜日

検索各社が目指す「検索体験のスピードアップ」【前編】

Google は前年度2009年、様々な新機能をリリースした。これら新機能の多くには、ユーザーの「検索体験のスピードアップ」という目的が念頭にある。

「検索体験のスピードアップ」とは、検索にあたってのユーザーの無駄なクリックと時間を最小限に抑え、必要な情報を提供するという、ユーザーの検索体験向上のための考え方の一つである。また、Yahoo! や Bing もユーザーの利便性を考えた各種機能を提供しており、これらの背景にも、ユーザーの検索体験向上に関連した「検索体験のスピードアップ」が目的として存在する。

では、これを根本として順次リリースされる新機能に、各企業の Web 運営者はどのように対応していけばよいか。今回の前編では Google について取り上げ、後編では Yahoo!、Bing の取り組みについて紹介しながら、Web 運営側がとるべき対応について記載する。

■Google の取り組み
Google が2009年にリリースした新機能のうち、「検索体験のスピードアップ」に関連するものには下記が挙げられる。

(1)キーワード入力から必要情報ページ表示までの時間短縮
例えば、英語版 Google で MBTシューズ
「weather chicago」と検索してみよう。シカゴの「chi」の入力が終わるか終わらない内に、その日およびその日から3日間の天気(晴れや曇りのマークと最高/最低気温)が関連検索ワードボックス内に表示される。(※1)

また、英語版 Google で「google map」と検索すると、関連検索ボックス内に Google Maps の URL が表示される。これにより、通常の検索結果画面から特定の URL をクリックする手順を踏まずに、ユーザーは直接 Google Maps のサイトに訪問することができる。(※2)

(2)検索結果画面にパンくずリストを表示
これは、検索結果に表示されたページが、該当サイトにおいてどの位置に属する情報かを分析し、「そのページが所属するカテゴリ」をパンくずリストとして検索結果画面に表示する機能である。

例えば、パナソニックのデジタルカメラ、型番 XX-XXX という製品があったとしよう。この製品の情報を掲載したページを、サイト上の「製品」>「デジタルカメラ」>「コンパクトサイズ」というカテゴリ下においたと仮定する。

すると、キーワード「XX-XXX」で検索して、該当ページが検索にヒ
ットした時、検索結果画面上に、「デジタルカメラ>コンパクトサイズ」という文字列が表示される。これによりユーザーは、パンくずの文字列を通じて文脈を判断することが可能になり、目当ての情報があると確信してクリックすることができる。

また、パンくずをクリックすることで、その関連ページにも直接アクセスすることが可能となる。

(3)リアルタイム検索
Twitter のブレイクも影響して「最新の情報にもアクセスしたい」というユーザーのニーズが高まる中、英語版 Google は2009年12月にリアルタイム検索を発表した。これは、「たった今世界で何が起きているか」を検索することができる機能である。

リアルタイム検索の検索結果画面では、数秒前に公開されたばかりのブログ記事やニュースのヘッドラインに加えて、Twitter や Facebook、FriendFeed で流れるオンタイムの情報がスクロール表示される(リアルタイム検索は2010年1月12日現在、英語版 Google のみで利用可能な機能)。

なお、英語版 Google のリアルタイム検索は、Google Trends の「hot topic」から試すことができる。ここで、検索結果表示 12
中もリアルタイムに情報が更新されていく様子が確認できる。

ただし、リアルタイム検索にはある課題が存在する。リアルタイム検索で表示される情報には「最新」という価値があるが、オンタイムで生成される情報は膨大であり、その中にはユーザーにとって価値の低いもの多く存在する。ある程度の関連性と信頼性をリアルタイムの検索結果に反映させることができなければ、ユーザーは多量のノイズと接触することになる。

しかし、リアルタイム検索に何らかのフィルターをかければ、それは「リアルタイム検索」ではなくなってしまう。この課題は今後、リアルタイム検索がどれだけユーザーの役に立つかに関わってくるだろう。

また、リアルタイム検索ではないが、日本版 Google でも、検索結果画面に表示される「検索ツールを表示」をクリックすると、期間(最近の結果、24時間以内、1週間以内、1年以内、特定の期間)でフィルターができるようになっている。これは、「この期間の情報が知りたい」ということが明確になっているユーザーに対して、できるだけ必要な情報のみを届けようという機能である。(※3)

(4)リッチスニペット
検索結果のスニペット(説明文)欄に、ユーザーの総合評価、レビューの件数や評価(☆マーク)、レビュー投稿者や製品の価格帯など、ユーザーに便利で有益な情報を表示する機能である。


検索結果画面上に表示されるこれらページに含まれる情報の一部は、ユーザーにとってクリックの前にその情報が必要かどうかの判断材料となる。(※リッチスニペットの表示はランキングアルゴリズムで決定するため、構造化データに対応しても必ず表示されるとは限らない)

また、Web 運営側にとっては、これまでの「タイトル」「説明文」「URL」の情報に加えて「レビュー情報」や「価格情報」などの詳細な情報を伝えることができるため、サイトへの流入増加に繋がるなどのメリットが考えられる。

現に Google は、製品やサービスのレビューや評価情報を表示することで該当ページの有益性が分かりやすくなり、より効果的にユーザーを Web サイトへ誘導できるようになったとの実験結果を報告している(Google webmaster central ブログより)。

なお、リッチスニペットを利用するには Web ページの情報の構造化を要する。マイクロフォーマットや RDF などを利用した構造化データをページに付加して、Google に専用フォームから申請する必要がある。

(5)ページの表示速度の PageRank への影響
Google
の Matt Cutts 氏は、Web ページの表示速度も PageRank の算出の1つの要素として考えていることをコメントしている。

これは、ページの表示速度が遅ければ、その分ユーザーに無駄な時間をとらせることになり、逆に早ければより短い時間でユーザーに情報を届けることができるという考えが元になっていると推測できる。

このように Google は、ユーザーが必要情報に辿りつくまでのプロセスが、最短時間、最小クリックになるよう支援しているのである。
(※1、※2、※3で記載している具体例は、2010年1月12日現在の情報である)

(執筆:株式会社アイレップ SEO グループ SEO チーム 本多志帆)

記事提供:アイレップ

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引用元:RMT

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